Eno.460 ぷりんまる・さゔぁらん 通信記録#7 - はじまりの場所
「…はいっ!それでぇ…今はこの花園というエリアの探索をしているところなんですぅ
これまでも、自然が豊かで綺麗な場所ばかりだったんですがぁ…この辺りは本当に、凄くってぇ…
色取り取りのお花が、あふれるくらいたくさん咲き乱れているんですぅ!」
定期連絡にももう慣れたもので、最初の頃のように妙な緊張をすることはもうありません
連絡を重ねる度に、調査報告というよりも日々の生活の雑談を一方的に行っている…というような状態にこそなっていますが
Motherはそれを咎めるような事もなく、時折相槌を打ちながら子犬の話を聞いていました
【―――良い経験を積めているようで何よりです33550336―――】
【―――バイタルチェックも完了しました―――】
【―――…………………―――】
「………?どうかされましたかぁ、Mother…?」
らしくもない、沈黙の時間が続いた事に流石の呑気な子犬も怪訝そうに首を傾げました
【―――…貴方の、情報開示権限の制限を解除します―――】
「…えっ?それって…ぷりん達の世界の事、全てをお話しても…いい、ということですかぁ…?」
【―――是。貴方の出自、我々の事情、かの災害―――】
【―――もしも我々の、終わりかけの、この世界に興味を持つものが現れるようであれば―――】
【―――貴方の知る、その全てを開示する事を、許可します―――】
「…………………わぅ…?」
思いがけない言葉に、目を丸くして驚きます
元来の彼の目的、それは思いがけずに現れた異世界という存在の調査
敵対的存在の有無、そもそも生物の生存に適した環境であるのか、生殖、文明の度合い、etc...
諸々の調査自体は現状、招待客の身分で出来る事は既に終わっていると言ってもいい
この島で接触出来る相手はスタッフであるハナコくらいのもので
この世界に統治機構が存在しているのかも定かではない
…救援を、救助を。請えるのかどうかも、現段階では判明していない
自身の身の上を語れるのは、それらが判明してからの事だと思っていました
方針を転換したのでしょうか
【―――現状、貴方の接触する事の出来る相手は同じ観光客という身分を持ったものだけ―――】
【―――ですが、貴方と同じく異なる世界の住人であるということは―――】
【―――ソラニワ世界へのものとは異なる形でのアプローチが出来る可能性があります―――】
【―――しかしそこにいる人々はあくまでも個人―――】
【―――個人への信頼を得るには―――個人を信頼する為には―――】
【―――隠し事をすべきではない―――特に―――貴方のような無垢な存在が―――】
【―――そうしている事は不自然です―――何よりも―――誠意に欠ける―――】
【―――我々から交渉材料に差し出せるものは―――残念ながらありません―――】
【―――もしも貴方が―――全てを託すことが出来ると感じるような相手が現れたなら―――】
【―――貴方の知る全てで持って―――誠意を、尽くして下さい33550336―――】
【―――本日の通信は以上―――引き続き―――ソラニワ世界での行動を―――】
「………はい、頑張りますぅ。それでは…また」
通信を終えて、何処か呆けたように子犬は通信機を眺めています
今までとは少々趣の違う指示が与えられました
信頼を得る。誠意を尽くす。
…もう、何かを誤魔化す必要がない
開放感と、ちょっとした不安と
…これからの生活の事を考えながら、今日はそのままこの場所で眠りにつくことにしました
…考えることは苦手ですが、考えるべきことはたくさん、ありました
【―――――――――――――――――――――】
【―――虚数侵蝕率、1,37%低下―――】
【―――これは、最早誤差の範囲ではなく―――】
【―――――――――――――――――――――】
これまでも、自然が豊かで綺麗な場所ばかりだったんですがぁ…この辺りは本当に、凄くってぇ…
色取り取りのお花が、あふれるくらいたくさん咲き乱れているんですぅ!」
定期連絡にももう慣れたもので、最初の頃のように妙な緊張をすることはもうありません
連絡を重ねる度に、調査報告というよりも日々の生活の雑談を一方的に行っている…というような状態にこそなっていますが
Motherはそれを咎めるような事もなく、時折相槌を打ちながら子犬の話を聞いていました
【―――良い経験を積めているようで何よりです33550336―――】
【―――バイタルチェックも完了しました―――】
【―――…………………―――】
「………?どうかされましたかぁ、Mother…?」
らしくもない、沈黙の時間が続いた事に流石の呑気な子犬も怪訝そうに首を傾げました
【―――…貴方の、情報開示権限の制限を解除します―――】
「…えっ?それって…ぷりん達の世界の事、全てをお話しても…いい、ということですかぁ…?」
【―――是。貴方の出自、我々の事情、かの災害―――】
【―――もしも我々の、終わりかけの、この世界に興味を持つものが現れるようであれば―――】
【―――貴方の知る、その全てを開示する事を、許可します―――】
「…………………わぅ…?」
思いがけない言葉に、目を丸くして驚きます
元来の彼の目的、それは思いがけずに現れた異世界という存在の調査
敵対的存在の有無、そもそも生物の生存に適した環境であるのか、生殖、文明の度合い、etc...
諸々の調査自体は現状、招待客の身分で出来る事は既に終わっていると言ってもいい
この島で接触出来る相手はスタッフであるハナコくらいのもので
この世界に統治機構が存在しているのかも定かではない
…救援を、救助を。請えるのかどうかも、現段階では判明していない
自身の身の上を語れるのは、それらが判明してからの事だと思っていました
方針を転換したのでしょうか
【―――現状、貴方の接触する事の出来る相手は同じ観光客という身分を持ったものだけ―――】
【―――ですが、貴方と同じく異なる世界の住人であるということは―――】
【―――ソラニワ世界へのものとは異なる形でのアプローチが出来る可能性があります―――】
【―――しかしそこにいる人々はあくまでも個人―――】
【―――個人への信頼を得るには―――個人を信頼する為には―――】
【―――隠し事をすべきではない―――特に―――貴方のような無垢な存在が―――】
【―――そうしている事は不自然です―――何よりも―――誠意に欠ける―――】
【―――我々から交渉材料に差し出せるものは―――残念ながらありません―――】
【―――もしも貴方が―――全てを託すことが出来ると感じるような相手が現れたなら―――】
【―――貴方の知る全てで持って―――誠意を、尽くして下さい33550336―――】
【―――本日の通信は以上―――引き続き―――ソラニワ世界での行動を―――】
「………はい、頑張りますぅ。それでは…また」
通信を終えて、何処か呆けたように子犬は通信機を眺めています
今までとは少々趣の違う指示が与えられました
信頼を得る。誠意を尽くす。
…もう、何かを誤魔化す必要がない
開放感と、ちょっとした不安と
…これからの生活の事を考えながら、今日はそのままこの場所で眠りにつくことにしました
…考えることは苦手ですが、考えるべきことはたくさん、ありました
【―――――――――――――――――――――】
【―――虚数侵蝕率、1,37%低下―――】
【―――これは、最早誤差の範囲ではなく―――】
【―――――――――――――――――――――】