Eno.295 クラヤミユウシャ  今 - はじまりの場所

勇者
勇気にあふれる人。

 
「勇者様だ!」

 
「勇者様よ、ほら、手を振って!」

 
「あんな子が勇者?俺と同い年じゃん!」

 
「あんたより立派なのよ!ほら!」

 
「パレードに来れて良かったよ!勇者様に会えたんだ!」


また、勇気のある行いをした者。

 
「号外!号外だよ!」

 
「『勇者、遺跡を守る!』だってよ。」

 
「前は北国に行っていたのに、今度は南国?忙しいなぁ。勇者様も。」

 
「魔王も何考えてんだか。ここの遺跡、なんもないところなんだろ?」

 
「噂によれば魔王は歴史オタクらしいぞ。」

 
「はぁ?魔王も暇人なのか?」


…俺はまだ、魔王を倒していない。

 
「おい。」

 
「何だよ。」

 
「勇者って……死んだのか?」

 
「馬鹿野郎。まだ生きてるよ。」

 
「全然魔王倒せてないじゃん!」

 
「まぁそれはな…いつまでかかるんだか。」


………勇気のある行い。

 
「勇者様、応援してます!」

 
「勇者様が魔王を早く倒せるように、祈ってますよ!」

 
「お願いします勇者様!村の近くにいる魔物を倒してほしいのです!村民も毎日毎日不安で…」


…俺は、

 
「あんなに若いのに、何で勇者なんて…。/55/」

 
「王様は馬鹿なのか?王国騎士団に任せればいいだろう!」

 
「全く、いつぞやの儀式なんて行うからだよ。」

 
「もう半年も経つのに魔王はまだ倒されていない。」

 
「一体いつまでこんな生活をすればいいんだ!」

 
「若造の野郎には任せられない!俺達で魔物を討伐するぞ!」


まだ"勇者"じゃない?

シロクロ
「ユウ、ユウシャ。コノセカイノ、コトバ。」

彩り豊かな花達を眺める。
シロクロ
「…マダ、」

空を見る。青と白の、俺にとっては異常な空。
シロクロ
「ココニイタイナ。」

今、勇者はお休み中。








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