Eno.358 ルクスリア 行き先不明のチケット - はじまりの場所
夜に家出して何時間もたった後。
ボクは月明りの空に浮かぶ島々を飛び石のように移動して、暗闇の中をひたすら突き進んでいた。
この世界にいると、エリクス達は通信で家出したボクを瞬時に見つけることができる。
たとえ広大な”草原”の端同士でもわかるぐらい、正確に居場所を突き止めてくる。
だから、前に聞いた「他の世界に行ける装置」がある最奥を目指した。
そこであれば、エリクス達も追ってこれない違う世界に行けるはず。
…
更に何時間も後のこと。
月も傾き始め、流石に疲れがたまってきた。
山に例えるなら、ようやく一合目を超えたあたり。
エリクスの翼を借りない”草原”が、こんなにも広いとは思わなかった。
時々ボクの浮遊する剣に乗って飛ぶこともあったけど、エネルギーを使いすぎるし風にあおられるから基本は歩き。
まだ全然浅い層というのに、すごく険しい道のりだ。
住人に見つからないように物陰に隠れて、持って来たエナジードリンクを飲む。
10本は持って来たのに、もう4本目を飲み終えようとしている。
こんな調子で大丈夫かな…とため息をつきながら、体重を後ろの壁に傾ける。
この先の道の方が間違いなく険しいのに。
ふと、地面についた手に何かが当たったような感覚をおぼえ、拾い上げて観察してみる。
どうやらタブレット端末のような遺物だ。
「楽園招待…パスポート?」
可愛らしい動物の絵が裏面にプリントされた、使い切りのものだ。
未使用なのだろうか?と思い、側面についたスイッチを押してみる。
「この度は、体験型サファリパーク、”楽園”へのチケットをご購入いただき、ありがとうございます!!」
「うわっ!?!?」
スイッチを入れた途端、ファンファーレと共に思いもしなかった爆音で女性の声が端末から響いた。
驚きのあまり端末を投げ出してしまう。
「本チケットは一度きり!最大四人の家族一組限定で、”楽園”へと直接招待させていただく形式になっています!!素敵な素敵な楽園への旅の準備はできましたでしょうか!!」
投げ出した後も、端末はひたすら大きな声でしゃべり続ける。
そしてその声に引き寄せられたロボット達が、いつの間にかボクの周りを取り囲んでいた。
「準備ができたら、楽園への転送を開始します!
本端末の画面をタップしてください!」
音声と共に、端末の周りが飾りつけされた青色の立方体のホログラムで包まれる。
迷っている暇はない。あの端末を使って逃げなきゃ…!
「それでは…いってらっしゃ~い!!」
端末に手が届くと同時に、視界が白い光で包まれた。
ボクは月明りの空に浮かぶ島々を飛び石のように移動して、暗闇の中をひたすら突き進んでいた。
この世界にいると、エリクス達は通信で家出したボクを瞬時に見つけることができる。
たとえ広大な”草原”の端同士でもわかるぐらい、正確に居場所を突き止めてくる。
だから、前に聞いた「他の世界に行ける装置」がある最奥を目指した。
そこであれば、エリクス達も追ってこれない違う世界に行けるはず。
…
更に何時間も後のこと。
月も傾き始め、流石に疲れがたまってきた。
山に例えるなら、ようやく一合目を超えたあたり。
エリクスの翼を借りない”草原”が、こんなにも広いとは思わなかった。
時々ボクの浮遊する剣に乗って飛ぶこともあったけど、エネルギーを使いすぎるし風にあおられるから基本は歩き。
まだ全然浅い層というのに、すごく険しい道のりだ。
住人に見つからないように物陰に隠れて、持って来たエナジードリンクを飲む。
10本は持って来たのに、もう4本目を飲み終えようとしている。
こんな調子で大丈夫かな…とため息をつきながら、体重を後ろの壁に傾ける。
この先の道の方が間違いなく険しいのに。
ふと、地面についた手に何かが当たったような感覚をおぼえ、拾い上げて観察してみる。
どうやらタブレット端末のような遺物だ。
「楽園招待…パスポート?」
可愛らしい動物の絵が裏面にプリントされた、使い切りのものだ。
未使用なのだろうか?と思い、側面についたスイッチを押してみる。
「この度は、体験型サファリパーク、”楽園”へのチケットをご購入いただき、ありがとうございます!!」
「うわっ!?!?」
スイッチを入れた途端、ファンファーレと共に思いもしなかった爆音で女性の声が端末から響いた。
驚きのあまり端末を投げ出してしまう。
「本チケットは一度きり!最大四人の家族一組限定で、”楽園”へと直接招待させていただく形式になっています!!素敵な素敵な楽園への旅の準備はできましたでしょうか!!」
投げ出した後も、端末はひたすら大きな声でしゃべり続ける。
そしてその声に引き寄せられたロボット達が、いつの間にかボクの周りを取り囲んでいた。
「準備ができたら、楽園への転送を開始します!
本端末の画面をタップしてください!」
音声と共に、端末の周りが飾りつけされた青色の立方体のホログラムで包まれる。
迷っている暇はない。あの端末を使って逃げなきゃ…!
「それでは…いってらっしゃ~い!!」
端末に手が届くと同時に、視界が白い光で包まれた。