Eno.818 冷気を纏う白馬  日記の切れ端 - はじまりの場所

本日、我が館にイグニアス様がご来店。
次男様は兎も角、かのお方が奴隷館に足をお運びになるとは珍しい。
話を聞けば、来週お誕生日を迎えられるという末の弟君おとうとぎみの為の贈り物を見繕いに来たのだとか。宝玉や装飾品ではなく奴隷が贈呈品とは。王族の趣味がいいのか、あるいは余程末弟が煩わしいのか。


結果、イグニアス様はボロを纏った氷馬ひょうまの娘を選ばれた。
あいつは見目は良いがプライドが高すぎる。指ひとつでも触れようものなら凍死は避けられない。故にあらゆる奴隷商が手を焼く不良品なのだが……
無駄な在庫が捌けたのは良いものの、これを贈られるフィンブル様には同情の念しか抱けない。
明日には幼い末弟王子の薨去こうきょが報じられることだろう……。

─とある奴隷商の手記より─








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