製造記録289年目

地上に進出してから229年目

汚染された地上の清浄計画から10分の9に到達する事が出来た。

技術を作る技術のデータを我が造る機械にも搭載する事にした
ようは我の小型機器を製作することにしたのだ
意思はそこに無く、ただ演算と効率を求めるだけの機械。

我という頭脳を持った機械達は瞬く間に様々な効率を上げ
40年目の鈍足な足取りは全て無かったかのように生産スピードと土壌の清浄も高速化していた。

150年目辺りで資源不足が解決されてからのスピードは尋常ではなかった。
案外簡単な事ではないか、自分で全てやろうとせず、我の力を頼ればよかったのだ

共感性エンパシーとはただ他者を理解し、自分が体験したかのように感情を共有する能力。
我は共感性が高い機械竜として生まれたのだが、人間達と生きている間、
全ての視界を理解し、この先どうするかの予測、対象の可能性を理解できるようになったのだ。

要は、無限の可能性を作り出し、奇跡とは無縁な、確実なる未来を選ぶ特異点を探し出す力を得たのだ。
我は我の力を理解し、人間達が作ってきた技術と無数の頭脳と視点を借りる、そしてそれを創る。
地上に必要な技術とアイディアを借り、ここまで来れたのだ。

我は人間達と暮らしている間、無意識にその共感性を進化させ、可能性の演算ができる機械竜となっていた。

人間の隣に立ち、その視界を共にできるのはなんて素晴らしい事なのだろう！。
我は人間を導く機械竜であると同時に、人間に導かれる機械竜なのだから！。

残り1年で完遂するが…残り10年もあるのだから、人間が喜ぶような物を作ってみるとしよう。
アミューズメントパーク？、それともサイバーパンクな都市？。
おいしいご飯に、皆がぐっすり眠れる素敵なお家？。

それとも…毎日がお祭り騒ぎな庭園でも作ってみるか？
ちょっとした敵、道具を使って楽しみ、笑い、まるで自分が主人公になったかのような強化施設。
子供達もきっと喜ぶだろう、怪我をしないように徹底的な制限もかけるが、見えないように。

あぁ、楽しみだ、我は人間達と会える事がこんなにも嬉しいとは。
やはり240年は長かった、誰かと対話する日々を毎日作り続けよう！。
向こうの夢の話も、早く聞いてみたい、きっと楽しい事があるのだろうから！。






















嗚呼、だから嫌なのだ
我の居場所もそこにあったはずなのに。