プロフィール戦闘設定チャット
 
木だけを見て
ペレーネ・マーレタック  Perene Maretak
Profile

まだ若き世界樹を守る、樹海の姫。

世界樹の樹下を生活拠点としており、周辺で採れるもので暮らしている。
穏やかながらも芯はしっかりしており、冷静さも持ち合わせている。
長い月日森で過ごしており、時代についていけていない節がある。
雰囲気に反してフランクで、どちらかというとツッコミ役だがボケに流されやすい……かも?

折れた世界樹の枝の一部に不思議な結晶を吊るした杖を扱い戦闘を行う。
その結晶に秘められた魔力を用い、魔力を帯びた樹木を操る。
攻撃的運用も出来なくはないが、本人は防御用として扱うのが好みのよう。

世界樹を守る使命を全うするべく、基本的に世界樹の付近を離れようとしない。
世界樹に対する感情がめちゃくちゃ重い。こっわ
伝話 世界樹の守り人
ある世界のあるところに、至って普通の少女が過ごしていました。
少女が過ごす地には、広大な森が広がっていました。

ある日、少女は一人でその森に入っていってしまいました。
お父さんとお母さん、他の大人達には危ないから森には勝手に入ってはいけないよと言われていました。
少女はその森の中で色んなものを見つけました。
見たことも無い鳥、鮮やかな花、煌びやかな魚……
少女は思わず夢中で森の中に足を踏み入れて行ってしまいます。

それからしばらく経った後、辺りはすっかり暗くなってしまいました。
少女はもちろん灯りなんて持っていません。
夜になるとあれほど綺麗だった森も、恐ろしい世界になってしまうのです。
少女は怖くなってしまって、お父さんやお母さん、知る限りの名前を叫びました。
しかし、ただでさえ入ってはいけないと言われている森には誰一人としていません。
少女はとうとう疲れ果ててしまい、お腹も空いてきました。

その時、目の前にとても大きな樹があることに気付きました。
少女はその樹に身を寄せることにしました。
すると、少女の前にぽとりとおいしそうな実が落ちてきました。
きっとこの大きな樹の実が落としてくれたんだ。
少女はそう思い、その実を食べました。
するとあっという間に空腹感は無くなり、なんだか力が湧いてくる気がしました。

少女は誰かが助けに来るまでその樹の元で過ごすことにしました。
それから樹から実が落ちてくることはなく、少女は自分の力で食べるものと飲むものを探すようになりました。
そうして自分でなんでもすることの難しさを知り、今まで自分は両親に守ってもらっていたんだと気付きました。
そして少女が色んな事を自分で出来るようになったころ、たくさんの大人達が少女の元へ迎えに来ました。
少女はその大きな樹……世界樹と名付けたそれに感謝を告げ、元住む町へと帰っていきました。

少女は帰った後、身の回りの人たちに感謝を伝えたそうです。




少女が森に迷い込んでから数年、あの時の出来事のおかげで少女はとても優秀に育ちました。
そんなある日、少女には不思議なことが起こるようになりました。
誰もいないのに声が聞こえるようになってきたのです。
その声は優しくなんだか安心する声ですが、少女には覚えがありませんでした。

最初は気のせいだと思った少女でしたが、どれだけの日が経っても少女はその声が聞こえました。
その声は「貴方の帰りを待っています」と、少女を待つ声でした。
少女はその声に覚えこそないものの、少し心に引っかかりを感じ、ある日心当たりのある地へと赴きました。

それは世界樹—————。あの大きな樹の元でした。
迷路のような森でしたが、少女はまるでその地へと誘われるように足を踏み入れていきました。
迷うこと無く世界樹の元へたどり着いた少女でしたが、すると少女に語り掛ける声がまた聞こえてきました。
「おかえりなさい、愛する我が子よ」
その声は世界樹のものだ、少女はこの時確信しました。
少女が世界樹に触れると、暖かくも荒々しい自然の力が自分に流れ込んでくるのが分かりました。
その安心する暖かさに、少女はついそのまま樹にもたれかかって眠ってしまいました。

少女が目を覚ますと、なんだか周囲が騒がしい気がしました。
辺りを見渡してみると、たくさんの大人達が集まっていました。
知っている人から知らない人まで……かつて少女を探しに来た人の姿もありました。
しかし、あの時とは様子が違います。大人達は木を伐採する道具をたくさん持ち込んでいました。
大人達は言いました。「その樹を切り倒す必要がある。君は離れていなさい」
少女は驚きました。かつて自分を救ってくれた世界樹を切り倒すなんて!!
世界樹に命を救われたこと、生きていくことの大変さを世界樹のおかげで学んだことを少女は大人達に訴えました。
そのことを知らなかった大人達は驚きました。この樹がこの少女の命を救っていたなんて思っていなかったのです。
大人達は少女の訴えを聞き入れ、樹を切り倒す計画を中止しました。

少女はホッと安心しました。すると何かが頭上から降ってきました。
降ってきたものを見るとそれは世界樹のほんの一部で、まるでティアラのような形をしていました。
少女はそのティアラを頭に載せてみました。その佇まいはまるでお姫様のようでした。
そしてその時、この世界樹を守ることが私の使命なんだと感じました。
樹を切り倒すことを中止した大人達は、一緒に町へ帰ろうと少女を迎えましたが、少女はそれを断りました。
少女はこの森で、世界樹を守るための守り人になることを選んだのです。

それから少女は、世界樹の守り人として森の中で幸せに過ごしたんだとさ。






























……ここまでは、表向きの御話。
往年にして伝承や御伽噺は都合良く改変されるもの。
先ほどの物語は正しくない。正しくないのだ。
あまりにも都合が良い、実際はこのように丸くは収まっていないのだ。

物語を少し遡り……少女が大人達を説得しようとするところ。
少女は説得を試みたが、大人達は聞き入れようとしなかった。
大人達には少女の説得程度で伐採を止められぬ理由があった。
世界樹は……人々に実害があるものと判明したからだ。
止めようとする少女を大人達は押しのけ、伐採を開始した。
少女の抵抗も虚しく切り倒されゆく世界樹。
世界樹の声が聞こえる少女には、世界樹の悲鳴が聞こえていた。

伐採され弱りゆく世界樹の一部が少女の足元に落ちた。
それはティアラではなく、ただの細枝。
それでも少女はその細枝を握った。
少女は感情に任せその細枝を振るった。

少女がその細枝を振るえば、たちまち大地からは堅牢な樹木が隆起し大人達を薙ぎ払った。
ただの少女がどうしてこのような力を? 時はさらに過去へと遡る。

少女が初めて森に迷い込み、世界樹へたどり着いた時のこと。
世界樹が落とした果実はただの果実ではなかった。
その果実には世界樹の魔力が潤沢に含まれていた。
少女はその果実を食み、その魔力を身体に宿すこととなる。
その後、幾年の歳月の中で身体に魔力が馴染み、世界樹の声を聴くことが出来るようになった。
森を統べる世界樹の力を身に適応させたことで、木々を操る力を得たのだ。

—————こうして、世界樹の敵たる集団を蹴散らした少女は、弱る世界樹へと駆け寄った。
しかし、手遅れだった。もはや世界樹は自立するのが難しい状態にまで切り込みを受けていた。
崩れゆく巨木の元で少女はただ泣き叫んだ。それしか、出来なかった。

幾時が過ぎ、叫び尽きた少女は意識を手放し深い眠りに堕ちた。
揺蕩いの中、少女は聞き慣れた声を聞いた。
「我が子よ、新たな我が半身をどうか守ってください」

少女が意識を取り戻したころには数日、数週間、数か月、それどころではないかもしれない時間が過ぎていた。
眼前からは崩れた世界樹の姿は無かった。
そこにあるのは、新たな世界樹。まだ幼き1本の樹。
既に大木と呼べる大きさではあるが、少女には分かる。この樹が世界樹の子だと。
ごめんなさい、貴方のお母さんは守れなかったけれど、貴方だけは僕が守ってみせるよ。
そう少女は誓い、森へと身を置き若世界樹に尽くすこととなる—————。











































深根



 *核心のネタバレ・ややハードな内容につき注意



世界樹、人々はその樹を指しそのような名を与えた。
その巨躯を人々は崇め、時に畏れた。
巨躯の樹木は人々からの視線に興味は無かった。
今は———— 己の子を遺す手段を確立することを急かねばならない。
悠久の時を刻んだこの身も、既に全身が朽ちつつある。
そんな焦りの中、巨老木を訪ねる者があった。
まだ若く何も知らず、それに魔力の生成速度が優秀である少女……
世界樹に迷う時間は残されていなかった。

かすかに残る樹内の魔力をかき集め生んだ果実。其れを少女の元へと落としてやった。
世界樹の目論見通り、少女はその忌珠を口にした。
……もちろん果実だけでない。果実の中には種子が含まれるものだ。



寄生が始まった。



種は少女の体内に根を張った、少女が違和感を感じないようゆっくりと……
少女が生む魔力を喰いながら、根はついに少女の脊髄や脳にまで到達する。
種は少女に都合の良い幻覚・幻聴を手向け、意識や記憶の書き換えまで行った。
そしてある日、種は少女をもはや亡骸にも近い巨老木の元へと向かうよう仕向けた。

そして少女を親たる巨老木の元で眠らせ、樹に残る魔力をじっくりと種に移す手筈だった。
しかし邪魔が入った。この樹が寄生樹であること、少女に種が寄生していることに町の人々は気付いたのだ。
少女を連れ戻し種を摘出し、ついでに残った老木も念のため切り倒す。それが町の人々の計画だった。
しかし種は少女の認識を歪め、少女に手向けられた救いを認識出来ないようにした。
あとは激昂した少女に併せて樹木を操れば少女は自分が樹木を操る力を得たと勘違いする……

そう、少女自身は結局力など得ていなかった。種がそう思い込むよう仕向けていたのだ。

こうして邪魔者を排除した種は、さらに少女を確実に支配すべく昏睡させ、全身隅々まで根を張った。
目覚めた頃にはもはや少女は種の操り人形と化していた。

 肉体の大部分が置き換わった身体は、老衰が極端に遅くなっており、今は見た目が20歳ほどではあるが実際は300年ほど眠っていた。
あとは長い年月をかけてこの人形が生んだ魔力を種は吸い続け、人形の限界が来たら土に身を落とし、樹として伸びていけば良いだけ。
それと……せめての親孝行に、衰弱した巨老木に魔力を少量移し続け延命し
己が樹となる瞬間を見届けさせてやろう。という思いが種にはあった。

このようにして人形と化した少女は世界樹に心酔しているような意識を握らされ
ただ生んだ魔力を種と巨老木に与えるだけの存在へと成り下がってしまったのであった。

しかし種が常に少女の身体と意識を操るより、必要な時のみ乗っ取った方が魔力の無駄遣いが少なく効率的であるため
種は基本少女の好きにさせることにした。深層的な意識は書き換えてあるから結果は変わらないだろう、という考えだった。

少女は老木に心酔しているが、種のことは微塵も知りもしない。種を飲んだ時から今に至るまで一切その存在に気付いていない。
老木の一片にただ綺麗なだけの無意味な結晶を括り付けたそれを振りかざしているが、結局は種が寄生主を守るための防衛行動をしているだけ。

寄生元たるこの少女のカタチをした身に降りかかる災い事は防いでいこう。
あとは……寄生元の考えが好都合な時ぐらいは、気まぐれで塵ほどの魔力ぐらいはくれてやるか。
種はそんな考えの元、休眠状態へと入った……



少女は今日も幸せに暮らしている。
世界樹の奴隷たる証である、老木のティアラを誇りに思いながら————。































ペレーネ
「ヒトの秘密を勝手に覗き見るのは、関心しないなぁ」































































世界には、触れぬ方が良いものもある
 

 
 
 
 
(C) 2022 Hisagi & CloveR Steps.